タンクレストイレの本当のデメリットとは?一体型との比較で後悔しない選び方を知る

トイレリフォームやお家の新築をお考えの方、タンクレストイレに興味をお持ちではありませんか?スタイリッシュで省スペース、そして節水性能も高いと聞けば、「これしかない!」と思われるかもしれません。

でも、ちょっと待ってください。タンクレストイレ、実は意外な落とし穴があるのです。例えば、水圧が弱い家庭では十分な洗浄力が得られないことや、停電時に使用できなくなる可能性があることをご存知でしたか?

本記事では、タンクレストイレの”本当の”メリットとデメリットを詳しくご紹介します。一体型トイレとの違いや、どんな家庭に向いているのかも含めて、後悔しない選び方をお伝えします。

この記事を読めば、あなたの家に本当に合うトイレが何なのか、きっと明確になるはずです。

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タンクレストイレと一体型トイレの違いは?

タンクレストイレと一体型トイレの違いは?

タンクレストイレと一体型トイレの違いは、単なる外観だけではありません。設計思想から維持管理まで、さまざまな面で大きな違いがあります。

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見た目とデザイン

タンクレストイレは、その名の通りタンクが見えない設計になっています。壁に埋め込まれたタンクによって、すっきりとした印象を与え、まるでホテルのような高級感を演出します。一方、一体型トイレは便器とタンクが一体となった従来のデザインを踏襲しています。

タンクレストイレを採用した住宅では、トイレ空間全体がより広く感じられ、清掃も容易になります。壁面がフラットになるため、ホコリがたまりにくく、拭き掃除がしやすいのです。

一方で、一体型トイレは馴染みのあるデザインで、多くの人にとって使い慣れた形状です。タンクの上に小物を置けるなど、実用的な面でのメリットもあります。

しかし、ここで一つ注意点があります。タンクレストイレが必ずしもモダンで洗練されたデザインになるわけではありません。逆に、最新の一体型トイレの中には、非常にスタイリッシュなデザインのものも増えてきています。

つまり、デザイン性だけで選ぶのは危険だということです。トイレ選びで最も重要なのは、デザインと機能のバランスです。

機能と価格のバランス

タンクレストイレの最大の特徴は、その省スペース性にあります。タンクを壁に埋め込むことで、トイレ室全体のスペースを有効活用できるのです。

しかし、この省スペース性には代償もあります。タンクスペースが限られているため、一体型トイレのように多機能な設備を搭載するのが難しいのです。例えば、温水洗浄機能や脱臭機能など、快適性を高める付加機能の搭載には制限がかかることがあります。

しかし、技術の進歩により、タンクレストイレでも多くの機能を搭載できるようになってきています。ただし、同じ機能を搭載する場合、タンクレストイレの方がコストが高くなる傾向にあります。

一方、一体型トイレは、タンク部分に様々な機能を搭載できるという利点があります。最新の一体型トイレでは、節水機能、自動開閉機能、さらには健康管理機能まで搭載されているものもあります。

水流の強さと安定性

タンクレストイレの心臓部とも言える給水システムは、一体型トイレとは全く異なる先進技術を採用しています。高圧の水を直接便器に送り込む方式で、これにより強力な水流を生み出し、少ない水量で効率的に洗浄することができます。

タンクレストイレの洗浄力は一体型トイレと同等以上です。それでいて使用水量は最大で30%も少なくなることがあります。この節水性能は、長期的に見れば水道代の削減にもつながります。

一方で、この先進技術ゆえの課題もあります。タンクレストイレは水圧に依存する構造のため、水圧が不安定な地域や古い配管の家屋では十分な性能を発揮できない可能性があります。

対照的に、一体型トイレは長年の改良を重ねた安定した技術を使用しています。タンクに溜めた水を重力で流す仕組みは単純ですが、水圧の変動に左右されにくく、どのような環境でも安定して使用できるという利点があります。

ここで重要なのは、自宅の水回りの状況を正確に把握することです。水圧や配管の状態によって、タンクレストイレが本来の性能を発揮できるかどうかが大きく変わってくるのです。

メンテナンス

まず、タンクレストイレのメンテナンスは、一見シンプルに思えるかもしれません。タンクが見えないため、日常的な清掃は確かに楽になります。しかし、これは諸刃の剣です。タンクが壁に埋め込まれているため、不具合が発生した際のアクセスが難しくなるのです。

タンクレストイレの修理には専門的な知識と技術が必要なため、DIYでの対応が難しいケースが多いです。例えば、タンクレストイレの水漏れ修理に通常の3倍以上の時間がかかることもあります。

特に、壁の一部を取り外す必要がある場合です。これは単に時間だけでなく、修理費用の増加にもつながります。

一方、一体型トイレは構造がシンプルで、部品へのアクセスが容易です。タンクのふたを開ければ、ほとんどの部品が目視で確認でき、DIYでの修理も比較的容易です。

交換部品の入手難度

タンクレストイレの場合、その先進的な技術ゆえに、交換部品の入手が一体型トイレに比べて難しい場合があります。

一方、一体型トイレは長年使われている標準的な構造のため、交換部品の入手が比較的容易です。多くの部品が汎用性が高く、複数のメーカーの製品に対応しているケースも少なくありません。実際、20年以上前の一体型トイレでも、ほとんどの部品が今でも入手可能です。

節水効果の実際

タンクレストイレは、その構造上、一回あたりの洗浄水量を大幅に削減することができます。最新のモデルでは、大洗浄で4.8リットル、小洗浄で3.6リットル程度の水量で済むものもあります。これは、従来型の一体型トイレ(大洗浄13リットル、小洗浄8リットル)と比べると、驚異的な節水効果と言えるでしょう。

しかし、タンクレストイレの場合、水圧が不安定だと十分な洗浄力を得るために複数回の洗浄が必要になることがあります。その結果、1回の使用で実際に使用する水量が、カタログ値の1.5倍近くになるケースもあります。

一方、最新の一体型トイレも節水技術が大きく進歩しています。例えば、便器の形状を工夫することで、少ない水量でも効率的に洗浄できる設計になっているものがあります。

タンクレストイレのデメリットとは?

タンクレストイレのデメリットとは?

タンクレストイレは多くの利点を持つ一方で、見過ごしてはならないデメリットも存在します。長年のエンジニアとしての経験から、タンクレストイレの「本当の」デメリットについて、詳しく解説します。

初期費用と設置コストの高さ

タンクレストイレの価格帯は、一般的な一体型トイレと比べて30%から100%ほど高くなります。例えば、中級クラスの一体型トイレが15万円程度であるのに対し、同等クラスのタンクレストイレは20万円から30万円程度になることが多いです。

しかし、製品価格はコストの一部に過ぎません。設置工事費用も大きく異なります。タンクレストイレの設置には、壁内への給水管の埋め込みや、場合によっては壁の一部改修が必要になることがあります。

具体的な数字を挙げると、一般的な一体型トイレの設置工事費が5万円から8万円程度であるのに対し、タンクレストイレの場合は10万円から20万円程度かかることも珍しくありません。特に、既存の一体型トイレからタンクレストイレへの交換の場合、壁の改修が必要になるため、コストが大幅に上がります。

しかし、コストだけでタンクレストイレの価値を判断するのは適切ではありません。デザイン性や空間の有効活用、清掃のしやすさなど、金銭に換算できない価値も大きいのです。例えば、高級ホテルのような雰囲気を自宅のトイレで実現したいという方にとっては、追加コストを払う価値は十分にあるでしょう。

水圧に依存する問題

タンクレストイレは、タンクに水を貯めずに直接水道管から高圧の水を噴射して洗浄する仕組みです。そのため、十分な水圧がないと、洗浄力が著しく低下してしまいます。特に、3階以上の建物や水道本管から離れた場所では注意が必要です。

タンクレストイレが適切に機能するためには、通常0.1MPa以上の水圧が必要です。日本の一般家庭の水圧は0.15MPa〜0.2MPa程度であり、地域や建物の構造によってはこれを下回ることがあります。

ここで注意したいのは、「新築だから大丈夫」という思い込みです。新築物件でも、水道本管からの距離や地域の水道事情によっては、十分な水圧が得られないケースがあります。

この問題に対処するため、加圧ポンプを設置するという選択肢もありますが、これはさらなるコストと電力消費を伴います。タンクレストイレの導入を検討する際は、必ず事前に水圧のチェックを行うことです。

節水と流し残しのリスク

タンクレストイレの大きな魅力の一つは節水性能ですが、これが逆に流し残しのリスクを高める可能性があります。流し残しが頻発すれば、結果的に複数回の洗浄が必要になり、かえって水の無駄遣いになることもあるのです。

特に問題が顕著に出やすいのは、配管の勾配が緩い場合や、トイレから下水管までの距離が長い場合です。少ない水量では、汚物を押し流す力が不足し、配管内に汚物が滞留してしまうリスクが高まります。

停電時の使用制限

タンクレストイレは電力を使用して水を直接供給する仕組みを採用しています。そのため、停電時には基本的に使用できなくなります。一方、従来の一体型トイレはタンクに溜めた水を重力で流す仕組みのため、停電時でも少なくとも1回は使用可能です。

この問題に対する対策としては、以下のようなものがあります:

  • 手動洗浄用のバケツを常備する(20リットル程度が適切)
  • 簡易トイレや携帯トイレを備蓄する
  • 家の中に1台は一体型トイレを残しておく

また、最新の一部のタンクレストイレモデルでは、停電時に手動で1回分の洗浄水を溜められる機能を搭載しているものもあります。ただし、これはあくまで1回限りの対策であり、長期の停電には対応できません。

メンテナンスの難度

タンクレストイレのメンテナンスは、一般的な一体型トイレと比べてかなり難しいのが実情です。まず、タンクレストイレの構造自体が複雑です。タンクが壁に埋め込まれているため、内部の機器にアクセスするのが非常に困難です。

また、タンクレストイレはより精密な機器を使用しているため、専門的な知識と技術が必要になります。

確かに、表面的な清掃は簡単になりますが、内部機器のメンテナンスはむしろ重要性が増します。適切なメンテナンスを怠ると、突然の故障リスクが高まり、結果的に高額な修理費用が発生する可能性があります。

最新のタンクレストイレの中には、自己診断機能を搭載し、異常を早期に検出できるモデルも登場しています。ただし、これらの機能は補助的なものであり、専門家による定期点検の重要性は変わりません。

タンクレストイレはどのような住宅に適している?

タンクレストイレはどのような住宅に適している?

タンクレストイレは確かに魅力的な製品ですが、全ての住宅に適しているわけではありませんタンクレストイレが特に効果を発揮する住宅タイプと、逆に適していない住宅タイプについて詳しく解説します。

まず、タンクレストイレが最も適している住宅は、以下のような特徴を持つものです:

  • 新築やフルリノベーション物件:配管や電気工事を最適化できるため、導入がスムーズです。
  • 水圧が安定している地域の住宅:タンクレストイレの性能を最大限に発揮できます。
  • デザイン性を重視する住宅:モダンでスタイリッシュな空間づくりに貢献します。
  • 比較的狭いトイレ空間:省スペース性を活かせます。

一方で、以下のような住宅にはタンクレストイレはあまり適していません:

  • 古い住宅(特に戸建て):配管の改修が必要で、コストが高くなりがちです。
  • 水圧が不安定な地域や高層階の住宅:十分な洗浄力が得られない可能性があります。
  • 停電が頻繁に起こる地域の住宅:使用できない時間が増えるリスクがあります。
  • DIY好きの家庭:専門的な知識が必要なため、自己メンテナンスが難しいです。

タンクレストイレの設置で注意すべき点は?

タンクレストイレの設置で注意すべき点は?

タンクレストイレの設置は、一見シンプルに思えるかもしれませんが、実際には多くの注意点があります。

水圧の確認

タンクレストイレは水圧に大きく依存するため、十分な水圧(通常0.1MPa以上)が確保できるかの確認が不可欠です。

壁の構造確認

タンクを収納するため、一般的に10cm以上の壁厚が必要です。古い建物では、壁の補強工事が必要になることがあります。

電気工事の必要性

多くのタンクレストイレは電動で操作するため、電源の確保が必要です。トイレ内に電源がない場合、追加の電気工事が発生します。

排水管の位置と勾配

タンクレストイレは排水の位置が一般的なトイレと異なる場合があります。また、十分な排水勾配(通常1/100以上)が確保できるかの確認も重要です。

設置スペースの確認

タンクレストイレ本体のサイズだけでなく、施工時の作業スペースも考慮する必要があります。

設置時の費用

タンクレストイレの設置費用について説明します:

  • 製品価格:一般的に15万円から50万円程度です。高機能モデルではさらに高額になることもあります。
  • 工事費用:一般的に20万円から40万円程度です。
  • 追加工事費用:壁の改修、配管の変更、電気工事などの追加工事が必要になることが多く、これらで10万円から30万円程度の追加費用が発生することがあります。

設置工事期間

次に、工事期間について説明します。

  • 標準的な工事期間:通常3日から1週間程度かかります。
  • 追加工事による延長:壁の改修や配管の変更が必要な場合、工事期間が2週間以上に延びることもあります。
  • 乾燥期間:壁の改修を行った場合、塗装や壁紙の施工後に十分な乾燥期間(通常2-3日)が必要です。

複数の業者から詳細な見積もりを取り、工事内容と期間を比較検討することをお勧めします。また、製品の選択だけでなく、工事後のアフターサービスや保証内容についても十分に確認することが重要です。さらに、工事中の生活への影響を最小限に抑えるための計画(例:他の改修工事との同時進行)も事前に立てておくと良いでしょう。

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まとめ

タンクレストイレは、そのスタイリッシュなデザインと省スペース性で多くの方の注目を集めています。しかし、水圧依存の問題や高い初期コスト、メンテナンスの難しさなど、見過ごしがちなデメリットもあります。一方で、適切な環境下では、その美しさと機能性が住空間の価値を大きく高める可能性も秘めています。

重要なのは、自宅の条件とライフスタイルに合わせた選択をすることです。水圧や配管状況の事前確認、デザインと機能のバランス考慮、そして将来的な使用シーンの想定が鍵となります。また、信頼できる専門家のアドバイスを得ることも、後悔のない選択につながります。

適切な判断と準備があれば、タンクレストイレは快適で美しいトイレ空間を実現する素晴らしい選択肢となるでしょう。

よくある質問

タンクレストイレは本当に節水効果があるのですか?

タンクレストイレには確かに節水効果がありますが、その程度は使用状況によって変わります。

最新のタンクレストイレは、1回の洗浄で4.8リットル程度の水を使用し、従来の一体型(13リットル程度)と比べて大幅に節水できます。しかし、水圧が弱い場合や汚れがひどい場合は複数回の洗浄が必要になり、節水効果が薄れることがあります。また、小洗浄機能を適切に使用することで、さらなる節水が可能です。

タンクレストイレのメンテナンスは難しいですか?

タンクレストイレのメンテナンスは、一般的な一体型トイレと比べてやや難しい面があります。

  • 日常的な清掃は簡単:タンクが露出していないため、外観の掃除は容易です。
  • 内部機構へのアクセスが困難:故障時の修理や部品交換が専門的な技術を要することが多いです。
  • 定期的な点検が重要:年1回程度の専門家による点検が推奨されます。
  • 部品の入手性に注意:機種によっては、長期使用後に部品の入手が難しくなる場合があります。

まとめると、日常的な手入れは簡単ですが、故障時の対応や長期的なメンテナンスには注意が必要です。導入時に信頼できる業者とメンテナンス契約を結ぶことをおすすめします。

タンクレストイレは停電時でも使用できますか?

タンクレストイレは基本的に電力を使用して動作するため、停電時の使用には制限があります。

  • 通常時は使用不可:電力がないと洗浄できません。
  • 一部機種で緊急洗浄可能:最新の一部モデルでは、手動で1回分の洗浄水を溜められる機能があります。
  • バケツ洗浄が可能:事前に水を用意できれば、手動でのバケツ洗浄は可能です。
  • 非常用電源の活用:家庭用蓄電池やポータブル電源を使用すれば動作可能です。

対策としては以下が考えられます:

  • 停電時用の水を常備する
  • 携帯トイレを備蓄する
  • 可能であれば家の中に1台は一体型トイレを残しておく

結論として、タンクレストイレは停電時の使用に弱点があります。特に災害リスクの高い地域や、高齢者がいる家庭では、この点を十分に考慮して導入を検討する必要があります。